こんにちは
某セミリタイアブログにて、
「年金制度を公平にしたら一番ヤバいのは第3号被保険者ではなくてリタイア組」
という記事を見かけました。
某セミリタイアブログの主張
そのブログによると、
厚生年金の半分は国民年金の穴埋めに使われている
とのことです。
そして公的年金を公平にすると、
第1号被保険者 年金受給額が減る
第2号被保険者 年金受給額が増える
第3号被保険者 保険料負担が増え年金受給額も減る
とのこと。
この事態になっても、第3号は第2号とセットだから家計としては痛くも痒くも無いとのこと。
で、第1号が多大なダメージを受けるが、貧困層が多い第1号からは生活保護受給が増える、そして、一番困るのは資産があって生活保護を受けられないリタイア組となるそうです。
おおー怖い。
年金収支について調べてみました
私、エビデンスのない又はエビデンスが怪しい感じの記事については、資料を調べてみるのが習慣となっています。
まずは「厚生年金の半分は国民年金の穴埋めに使われている」が本当なのか、厚労省の資料を漁ってみました。
最新版は、令和元年度(2019年度)分。
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000807339.pdf
これによると、厚生年金部分では、
主な収入
- 厚生年金保険料収入 約37.7兆円
- 国庫(税金)負担分 約11.2兆円
主な支出
- 厚生年金として給付 約29.2兆円
- 基礎年金への搬出金 約21.5兆円
収入総額50兆円のうち厚生年金として給付したのは約30兆円だけ。
収入のうちおよそ4割ほどが、基礎年金へ供出されています。
厚生年金の半分は国民年金の穴埋めに使われている、は一見すると間違っていません。
でも基礎年金への搬出金のうち、半分は税金なんですよ。
要は純粋に厚生年金から基礎年金へ搬出される保険料は、意外と少ないということです。
一方、基礎年金勘定から支払われる年金は約23.3兆円。
支払い金額の半分を厚生年金が負担、残りが国民年金と税金が負担。
もしかして、こちらの計算から、厚生年金の半分は~って主張なのでしょうか。
では年金受給者数から見てみましょう。
最新版は令和元年度(2019年度)分。
https://www.mhlw.go.jp/content/000706195.pdf
資料によると、令和元年度の公的年金受給者延べ人数は7590万人。
そのうち2600万人は厚生年金と基礎年金の重複受給者。
重複受給者を除いた基礎年金のみの受給者は960万人。
つまり、基礎年金受給者のうち、第1号+第3号被保険者由来が全体の3割、残り7割は第2号被保険者から。
令和元年度の給付金で計算すると、第1号+第3号に7兆円、第2号に16.3兆円給付したことになります。
むしろ厚生年金側の負担が少なくないですか?
税金投入分を除くと、厚生年金の基礎年金負担は6兆円ほど不足しているんですけど。
公平な年金制度ってどういうもの?
某ブログの言われる「公平な年金制度」ってなんだろ?
国民年金・厚生年金ともに税金が投入されているので、厚労省の専門家でもないと公平な年金制度なんて設計するの無理でしょうに。
もしかして各年金ともに保険料だけで運営することが「公平な年金制度」?
国民年金は国も保険料を負担する、いわば税金投入前提な制度設計になっているんですが。
一応「私の考える公平な年金制度」を発表します。
「公平」を突き詰めると、国民年金と厚生年金の資金移動を無くし、同時に厚生年金への税金投入を止めることになります。
結果として、
- 第1号 保険料の増額か支給額の減額(税金投入が減る)
- 第2号 支給額の減額(税金投入の打ち切り)
- 第3号 国民年金保険料を負担+第1号並みの追加負担
つまり、某ブログの主張のように第2号+第3号の夫婦は痛くも痒くも無いというのは間違い。
第2号も痛いし第3号に至っては大出血です。
そして第1号の生活保護受給者が増え、資産がある(=生活保護を受けられない)リタイア組が一番困るのくだり。
リタイア組は全然困らないと思いますが?
年金減ると誰もが大変ですが、資産無くて生活保護になった人の方が窮屈な生活でよほど困るんじゃないですか。
ちなみに私の場合は、年金受給額が半額でもなんとかなる資産設計です。
たとえ年金少ないことで資産を全部食いつぶしても、そこから生活保護を受ければ良いってことですね。
ということで、年金の専門家でもないセミリタイアラーの妄想にお付き合いいただきありがとうございました。
ではまた。
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